もしかして今日、仕事が立て込んでいて早く帰れないんじゃ─── 「…っ、ダメダメ!」 こんな弱気になってどうする。 お仕事なら仕方がない。 ここは耐えろと我慢する。 わがままだと面倒がられる方が嫌だ。 「……ただいま」 家に着いて中に入ると、もちろん誰もいなくて。 静かな部屋に自分の声が響く。 それが虚しくて寂しくなったけれど、大体私の方が 帰ってくるのが早いのだ。 こんなこと慣れっこである。