「まあ、あの日はあの日で詩織にキスしたから良いんだけどな」

「……え」
「あまりにも詩織が無防備だったから」


紘毅くんの言葉であの日のことを思い出す。

確か唇に柔らかな感触がして、目が覚めると至近距離に紘毅くんがいて───


「じゃ、じゃああの日もキスしたの…!?」
「まあな」

「わ、私の初めてのキスがあんな形で…!
何がイヤラシイ夢だ!」

「それを信じる詩織もかわいかったけどなぁ?」


意地の悪い笑みにもドキッとしてしまう私も私。
紘毅くんには敵わない。