「……あっ」
マンションが見えてきたかと思えば、さらに反対側の道から人影が見えた。
それも見慣れた人影に、なんとなく気持ちが高揚するのがわかる。
「紘毅くんだ…!」
隠しきれない気持ちが表に出る。
紘毅くんは、片手にスーパーの袋をぶら下げている。
食材などの買い出しに行ってくれていたのだろうか。
紘毅くんの名前を呼ぼうとしたけれど、また坂野先輩に手を引かれてしまう。
先ほどのような強い力ではなかったけれど、バランスを崩したのは確かだった。
「嬉しいオーラ、滲み出てるよ」
「……っ」
「ここまでだとなんか悔しいね」
好きなのだから仕方がない。
この気持ちを抑えろと言う方が困難である。
わかっているのに、感情の制御はできない。



