永久溺愛〜オトナの独占欲は危険です〜




「いい物件が見つかるといいね」
「そうですね…」

「最悪俺のところに来たらいいよ」
「まだ言うんですか、それ。嫌です」

「結構本気だよ、いつでもおいで」


そう言って満面の笑みを浮かべる彼。
きっと作り笑いのはずなのに、自然に見えるから不思議だ。

もちろん坂野先輩の家に行くわけないけれど。



「……あの、坂野先輩?」
「んー?どうしたの?」

「電車、降りなくて良かったんですか?」


駅に着いて電車に乗り、しばらくの間揺られていると、坂野先輩の降りる駅がやってきた。

けれど彼が降りることはなく。
そのまま通り過ぎてしまう。



「うん、大丈夫」
「もしかして、また送ってくれようとしてますか?」


バイトが被れば、いつも家まで送ろうとしてくる坂野先輩。

さすがに何度も送ってもらうのは申し訳ないし、無駄に電車賃もかかってしまう。