「誰にでも優しく、同じように接することができる坂野先輩ってすごいと思います」
「そんなの簡単だよ、自分を良く見せるためだし」
「でも坂野先輩の優しさは本当だと思ってます!
実際にバイト中とか何度も助けられてますし…」
失敗しないことが第一なのだが、小さなミスもカバーしてくれる。
まだまだな私を、坂野先輩は助けてくれるのだ。
偽りの優しさでそれができるかどうかと言われても、私にはわからないのだから、坂野先輩のことを優しいと思うのは勝手である。
「意地悪ですけどね、すごく性格悪いし」
「……ふはっ」
坂野先輩の嫌なところを追加で足せば、突然彼は笑った。
「性格悪いって知ってるのに、俺のこと優しいって言うの?本当におかしいね」
なんだろう、心なしか嬉しそうに見えるのは。



