確かに今、『親の前でも』って言った。
私は聞き逃さなかったけれど。
「どうしたの?早く行くよ」
「あ、はい…」
結局それ以上深入りすることはできず、店の中へと入る。
「初めまして、坂野様から話は聞いております」
すでに坂野先輩が担当の人と掛け合ってくれていたようで、戸惑うことなく話を進めることができた。
担当の人は男性で、気さくな人だった。
初回ということで簡単に話をしただけで、意外とすぐに終わった。
坂野先輩曰く、担当の人は本当に頼れるようで、これで私も安心である。
最後にいくつか資料をもらい、今日はこれで店を後にした。
「担当の人の紹介、ありがとうございました」
「意外と早く終わったね」
「でもある程度、これからの流れのイメージはつきました!」
正直不安しかなかったけれど、少しは前向きに考えられそうだ。



