「もう坂野先輩とは友達にも…」
「あっ、隼也いた!」


『友達にもなりません』
そう言いかけた時、甘ったるい声が耳に届いた。

前を向くと、もう駅近くまで来ていた私たち。
その駅前から明らかに年上の綺麗な女性がこちらに近づいてきた。


なんと言ったってスタイルがいい。


「隼也、どうしてメッセージ見てくれなかったの!
連絡したのに」


ほぼ抱きつくような勢いで坂野先輩の腕に絡みつき、私なんかよりもずっと大きな胸をわざと当てている。

すごい、これがオトナの恋…じゃなくて!
誰だこの女性は。


「……ユウミさん、離れてください」


すると突然、隣からひどく冷たい声が聞こえてきた。
優しさのカケラもない冷たく突き放すような声に、耳を疑う私。


「どうして?隼也、最近全然会ってくれないじゃん!
彼氏なんかより隼也と一緒にいたい」


彼氏…彼氏がいるのかこの女性。
それなのに堂々と坂野先輩にくっついて大丈夫…なわけないだろう。

明らかに浮気紛いな発言をした。


「俺は同じ気持ちじゃないですね…すみません。
本命のカノジョ、見つけたんで」

かと思えば坂野先輩はハッキリと相手を拒否して、それから───


私の肩をグッと自分の元へ抱き寄せてきた。