「ここの料理も美味しいって評判だからね」
やっぱりそうなんだ。
この間もご飯ものを食べている人が多かった気がする。
「わっ…すごく美味しいです!」
トマトパスタを口に運べば、程よいトマトの酸味が広がってとても美味しかった。
パンも焼きたてで、パスタととても合う。
「美味しそうに食べるね」
「本当に美味しくて…すごい、どうやって作ってるんだろう」
家でもこの味が再現できたらなぁって。
いつも紘毅くんは私の料理のこと、どう思っているのだろう。
実はまずいとか、味付けが合ってないとか。
思ったりしているのだろうか。
優しいから口に出さないだけ…とか。
だって紘毅くんも料理ができるのだ、不満があるのかもしれない。
少し怖いけれど、今日聞いてみようかなと思った。
ご飯を食べ終えると、少しだけ店内の様子を観察してから帰ることにした。
店主と美智子さんに挨拶をした後、坂野先輩と一緒に店を出る。



