君のとなり。

私は彼の方を見て
仮面の笑顔を作った。

「私は大丈夫だから。それより
乃南のこと手伝ってあげなよ。」

「でも......。」

鳴海くんは迷ってるみたいだ。

本当は私だってついてきてくれる
って言われて嬉しかった。

だけど。

「遠慮なんかいらないってば。
ほら、早く行って?」

まだ、恐怖がある。

人気者と仲良くすることで
クラスメートからハズされる恐怖。

何気ない行動で次の日から
地獄の日々が始まるのが怖いんだ。

「分かった。ちゃんと保健室で
保冷剤かなんか貰えよ?」

そう言って鳴海くんは身を翻すと
乃南の方へ走っていく。

その姿を見つめていると
何故か胸が切なくなって。

目に溜まった涙をそっと拭う。

「なんで泣いてるんだ、私。」

1人で保健室に向かって歩くのは、
ほんの少しだけ寂しい気がした。