君のとなり。

自分の席について本を
取り出しながらぼんやりと考えた。

あのとき私がはいって返事を
してたら、どうなってたのかな。

鳴海くんだって嬉しくないよね。
私は可愛くもなんともないんだもん。

お気に入りの小説を取り出したものの
何故かモヤモヤして本を読む気には
なれなくって、楽しそうな皆の話に
耳を傾ける。

「ねーねー、もうすぐあれだよね!」

「え、あれって何のこと?」

「京華、主語つけて話せよな。」

京華と侑紀、それから林藤君が
話す声がふいに飛び込んできた。

もうすぐあれ?
それって何のことだろう?

何か行事でもあったかな。

耳を澄ませていると京華が
イキイキと続きを話し始める。

「学園祭だよ、学園祭!
この時期にあれって言ったら
学園祭に決まってるでしょ?」

「いや、決まってないって!」
(いや、決まってないでしょ。)

私の脳内ツッコミと侑紀をツッコミが
見事にシンクロして私は思わず苦笑。

侑紀、ナイスタイミング。