君のとなり。

「え、てかさ。あのスポーツタオル
ってクール王子のじゃね?」

乃南が来るまでの間、侑紀と
ゲームの話をしているとふいに
侑紀が私の後ろを指さした。

振り替えると、スポーツ用の
タオルが床に落ちている。

「え、そうなの?」

「ん、なんか亜美が前にクール王子の
タオルは赤に星の柄がついてるって
うだうだ言ってた気がする。」

侑紀と亜美は同じテニス部だから
ある程度の会話は成立してるらしい。

もっとも、仲は良くないけれど。

ちなみに私は豆ちゃんと2人で
美術部に所属している。

椅子から立ち上がってタオルを
拾いあげると、そのスポーツタオルは
赤に星の柄がついていた。

「これ、どうしよう?」

私が尋ねると、侑紀は強い口調で
ぺらぺらとまくしたてた。

「そりゃ、朝練でタオルなかったら
クール王子も困っちゃうでしょ。
早く持っていきなよ、ほらほら!」

「え、えぇ?!」

侑紀に教室から追い出される。