誰に話しかけられても、
『へぇ。』だとか『で、何?』
って興味なさそうに返してる。

でも鳴海くんファンの子は、
そういうところがたまらなく
シビれるって言うんだよね。

私にはよく分かんないけど。

だからこそ、私に対して彼が
親身になってくれるのが不思議。

「クール王子と仲良いの?」

尋ねられて、私はあれやこれやと
考えながら曖昧に言葉を濁した。

「仲良いというかなんというか、
優しくしてもらって......このことは
秘密にしといて!お願い!」

鳴海くんと関わっている、なんて
皆にもし知られてしまったら。

私はもうこのクラスで生きていけない。

「はいはい、分かってるってば。
周りには言わないよ。私の口は
スライムくらい固いんだから。」

「え、スライムって柔らかいじゃん!」

「ふふ、冗談だよー。」

2人で顔を見合わせて笑う。
そのときにはもう先程の涙は
すっかり乾いていた。