「......鳴海くん。」

聞かれちゃった。

私の本音。

クラスでは誰にも見せない裏の顔。

知られちゃった。

人気者のクール王子に。

「ねぇ、春瀬。」

彼は私を呼ぶと、こちらに向かって
すたすたと歩いてきた。

ばさっ。

「これ、着て。」

彼は自分の部活用のパーカーを
私に羽織らせると、そのフードを
しっかりと被らせた。

「顔、見えないから。
好きなだけ泣けばいいよ。」

ふっと微笑みを浮かべながら言う
彼に言われるまま、私の瞳から
ぽたり、ぽたりと涙が零れ落ちていく。

「ありがとう。」

そう小さな声で言えば、
彼に耳許で囁かれた。

「また、電話してよね。」