特にすることもなくてベランダに出た。
ただ景色をぼぅっと眺める。
空に流れる雲は瞬間瞬間に
形が変わり続けて
私を楽しませてくれる。

その時の雲はその時だけ。
気持ちもその時次第。
その2つは似ていると思う。

教室に戻ると、気だるげな声で
おはよーと声をかけられた。

「おはよ、侑紀。」
侑紀はクラスメートのなかで
私にとって居心地の良い相手だった。
侑紀は私を否定しない。
いつだって気軽に話しかけてくれる。

「昨日さ、ゲームでかなり
良いチェイス出来たんだよね!」

嬉しそうに昨日のチェイスについて
語りだす彼女はかなりのゲーム好きで、
その影響で私もゲームをするようになった。

「それってどのキャラ使ったの?」

私も笑顔で相槌をうった。

「えとねー。今回はゴーストライター
っていう新しいやつ使ってみた!」

2人でしばらくゲームの話をする。
この時間は、意外と好きだった。