「豆ちゃーん、歩くの疲れた。
どーにかしてよー。」

豆ちゃんの前だと、私は少しだけ
顔に貼り付けた仮面がはずれる。

「嫌でーす、自分でちゃんと歩け。」

豆ちゃんいわく私の素顔は
かなり甘えたがり、なんだそうだ。

「んじゃね、豆ちゃん。また明日。」

「ばいばい。また明日ねー。」

電車を降りて家まで歩く。

「ただいま。」

「おかえり、早く手洗って!」

お母さんは他の人よりも潔癖主義で、
完璧主義なんだと思う。

家に帰ると私はすぐに手を洗い、
お風呂場で足を洗って、それから
おやつを食べながら勉強する。

勉強が終わるのは晩御飯が出来る時。
テスト2週間からは夜の11時半
くらいまでで、何故か分からないけど
塾には行かない。

それが我が家だ。