君のとなり。

お弁当を食べ終えると、私はくるりと
後ろの乃南の席に机を寄せてそこに
自分の数学のノートをのせた。

そこに何人かクラスメートが
集まってきて、わかんなかった授業
やり直し講座が始まる。

「乃南はどこが分かんないの?」

尋ねると、彼女は首をかしげて
衝撃的な1言をぽつり。

「んー、全部?」

マジか......。

額に手を当ててため息をつきたく
なるけど、そんなことはせずに私は
笑いながらノートを前のページに
巻き戻した。

「んじゃ、最初のこの例題から
説明していこっか。まずはここの
問題なんだけど、この文章で重要なのは
こことここで......」

重要な部分にマーカーを引きながら
出来るだけ相手に分かりやすいように
1つ1つの手順を説明していく。

視線を感じて横にちらりと目をやると
鳴海くんが私が説明しているのを
じっと見つめていた。

私は少し赤くなりつつ説明を続ける。