君のとなり。

1人でとぼとぼと教室までの道を
歩いていると、私の横を同じように
1人で居る鳴海くんが通っていく。

と同時に、服の端をぐいっと
思い切り引っ張られた。
私は立ち止まって、彼の方を見る。

「百人一首。すごかった。」

小さい声でそれだけ言うと、彼は
スタスタと私を追い越して歩いていった。

「なに、それ。」

鳴海くんって、不思議だ。

彼がくれる言葉は、いつも
胸の奥をあったかくしてくれる。

「ありがと。」

小さく呟いてまた歩き出す。

なんだか、嬉しい気持ちだった。