「な!なにするの!?」
「お前が俺の存在を忘れるからだろ」
「べ、別に忘れたわけじゃ…」
少し部長に気を取られていただけだ。中学の時の癖が抜けず、やっぱり先輩ーー特に部長と話をするのはまだ緊張する。
やっぱり癖というのはなかなか抜けないもので、先輩と話すときはビクビクして様子を伺いながら話している。
悠馬はわたしにデコピンをした後、なぜか満足したような表情を見せスタスタと歩き出した。
ーーなんだったんだ、いまのは。というより、なにがしたかったのだろう。
「ふぅー」と小さく息を吐いて気持ちを落ち着かせようとした。
まだ心臓がドキドキいってる。
悠馬は経験豊富なのかもしれないけど、わたしはこういうことに免疫がないから無駄に近づかないでほしい。
必死に平静を取り戻そうと息を吸って吐いた。

