その悠馬の行動にわたしの動きが止まった。
「別に…幼馴染とか思ったことねーから」
小さい声で、だけどどこか芯があって、わたしには力強く聞こえた。
まっすぐと見つめてくる悠馬の視線にわたしは固まって動けなくなってしまった。
するとめぐがわたしの手を振り解いた。その反動で悠馬から掴まれていた手を一緒に外れた。
「ちょっと!今はそんな事どうでもいいから!」
そう悠馬に告げ、「行こう」と今度はめぐに引っ張られて教室に入った。
「もう!聞いたのはわたしなのに、花音に答えるなんて。しかも、なーにが『幼馴染と思ってねー』だ!」
悠馬のモノマネを入れながらめぐが怒っていた。
「あ、あのーめぐ?」
わたしがそう声をかけると、とんでもないことに気づいた、とでも言いたげな顔をしてわたしを見てきた。
「も、もしかして二人って付き合ってる?」
「え?付き合ってないけど…」
「あぁ、焦った!え、てことは…」
そう言ってめぐはしばらく黙り込んだ。

