その悠馬の言葉で自分がウィッグを被っていたんだと思い出した。

もう被っている必要もない、と思って偽の髪を思いっきり掴んで頭から取った。

「そ、それよりどうしたの?早いじゃん」

「どうしたのじゃねーよ。LINEしたのに返事返さねえからだろ」

「え?」と言いながらLINEを開くと確かに悠馬からメッセージが来ていた。

お店公式のLINEなども登録しているから基本アイコンマークに数字が入っている。

昨日の夜すぐに寝てしまったせいで、悠馬からのメッセージが下の方に下がって気づかなかったんだ。


「要らないメッセージでも既読にするか削除しとけよ。他のメッセージに気づけねえだろ」

「…はい」

それは良く言われることだ。
他の友達からも言われたことがある。

わたしも気をつけよう、と思っているはいるけど、なかなか自分の癖というものは消えてくれない。

「…もしかして一ノ瀬くん?」

わたしと悠馬のやり取りにめぐが入ってきた。