青い春と出会った恋



「まあでもせっかく持ってきたんだから被ってよ」
開き直ったかのようにめぐが言った。

せっかく持ってきてくれたんだし、これくらいいいか。
そう思ってわたしは被ったこともないウィッグを身につけた。


「…どう?」

頭に変な違和感がある。

そして鏡に映るのは見慣れているはずなのに、どこかおかしい。

髪型が違うだけでこんなにも人の印象って変わるのかと驚いた。


「いいよ!ふふっ、似合ってる!」
「え!今明らかに笑ったよね?」

「そんなことないよー」

そんなウィッグの話題で盛り上がっていると一人の女子生徒が階段から上がってくる姿が見えた。


「しーっ!誰かくるよ」

その声に、めぐとわたしはおちゃらけモードから一気に緊張感が走った。

しかしその女子生徒はどうやら先輩だったようでわたし達の階にくることはなく、そのまま上へと登っていった。