「まーとにかく犯人がわかるまでどうしようもないよね」
「そうなんだよねー」
やっぱり打つ手なしかーー。そう考えると気分が落ちた。
「でもとりあえず、その手紙捨てずに置いといたほうがいいと思うよ」
めぐの思いがけない提案に目が開いた。
「だって嫌がらせされてるって証拠じゃん。手紙もいつ、どこで、その日に何枚もらったか、とか全部つけといたらいいよ。ってまあ、ここまではしなくてもいいか」
思ってもみない提案に目から鱗だ。
これ以上何もない事を望みたいけど、最悪何か怒った時たしかに立派な証拠になる。
「すごいね、思いつかなかったよ」
「わたし叔母が弁護士してるから」
「そうなの!?…弁護士かぁ。カッコイイね」
わたしのその言葉にめぐはパッと目を輝かせて食いついた。
「でしょ!わたしも弁護士になりたいなーって思ってるの。まだ何もしてないけどね」
そう話すめぐは、窓から溢れた夕日の光でか、いつもより目が輝いているように見えた。

