ーー散った桜で埋め尽くされ、ピンクの絨毯のように美しく校舎前を導いていてくれた道路は、一ヶ月も経つと徐々に薄れてきていた。
「おはよー」
一ヶ月たった頃から、少しずつ学校生活に変化がでた。
いい意味ではなく、悪い意味で。
「おはよう。さっき他のクラスの子達が花音ちゃんを探してきてたよ」
「え?誰だろう…」
花音ちゃんにそう教えられ、心当たりのある人を探すも思い浮かばない。
そもそも他のクラスの友達なんて、弓道部の子くらいしかいない。
でも、ついさっきミーティングがあって顔を合わせてる為、その子達の可能性はかなり低い。
「名前とか聞いた?」
「ううん。翔也が聞いてたんだけど、また来るからって言って名乗らず行ってしまったわ」
「…そう」
「ただ伝えたいことがある、という感じはしなかったぜ」
「え、どういうこと?」
「んーうまくいえねえけど」
翔也が言葉を探しているうちにチャイムが鳴りしばらくすると担任が教室に入ってきた。

