わたしが聞くと、ちらっと横目でわたしの方を見て視線があうと、またバッと視線を外して言った。
「…弓道部って男もいるんだろ?」
「ん?そりゃいるけど」
なにが言いたいんだろう?と顔を逸らしている悠馬を覗き込むようにして見た。
すると「…ふーん」となぎ捨てるように言葉を吐くと、視線を窓の方に移し、車の窓の凹みに肘をついた。
その様子にニヤリとして言った。
「なにー?妬きもち?」
からかいながらそう言うと、顔を再びわたしの方へ向け視線が絡み合った。
からかったはずなのに、吸い込まれそうな透明な瞳に、なぜかわたしの方が今度は視線を外したくなった。
「…悪いかよ」
小さく消えそうな声で囁いた。
「え」
聞き間違いかと思い、理解ができないと伝えるように一文字だけ言葉を発した。
頭の中がフリーズしたかのように何も考えられず数秒がそのまま過ぎた。

