「…どうだった?」
「あ、うん!大丈夫!」
「もしかして、誰か迎えにきてくれるつもりだった?」
「あー、友達が車で通学してるんだけど、時間が合えば乗せてくれるって言ってくれてて…」
「え!ごめん、断らせちゃって!」
「全然!わたしこうやって友達と一緒に電車に乗って帰るの、憧れてたから」
「わかるー!わたしも!」
めぐも電車通学らしく、毎朝校舎に止まっている車を横目で見ながら通り越しているらしい。
わたしも本来であればその立場だ。
ロッカーでわたし達は一旦別れて上履きを履き替えた。
すると、部長が通り過ぎていく姿が見えた。
思わず「あ」と小さな声が漏れた。
部長はその声に反応してわたしに気づくと、立ち止まって「よう」と言って笑いかけてきてくれた。
まさか立ち止まってくれるなんて思いもしなかったから、用もないのに呼び止めてしまったことにすぐ後悔した。

