「まー、お前が行きたいならそこでいいけど」

悠馬が折れて、わたし達はファミレスに向かった。

こういう時、悠馬は必ずわたしの好みを聞いてきてくれて、「本当にそれでいいのか?」と確認して納得すると、必ずわたしの希望通りにしてくれる。


五十嵐さんはお昼はもう既に食べたらしく、わたし達は二人でファミレスに入った。


入学式早々、制服で学校の帰りに寄り道する、という憧れが叶ってしまった。

「制服で寄り道なんてまだ考えれらない」

「…そうか?」
「あー高校生になったんだなーって改めて実感したというか」

「制服で寄り道することがか?」

「そうそう!次はデートかな?」

彼氏がいる、というのもわたしの憧れだ。
放課後デートしたり、一緒に試験勉強したり…。

みんなが憧れるラブシチュエーションだと思う。

「は?なんだよデートって」

「だーかーら、彼氏だよ。高校生って言えば青春でしょ?」

わたしが楽しく話すのとは裏腹に、悠馬にはつまんない話題だったようで、片手で頬杖をついた。

「ふーん」