「せっかくだしどっか寄って帰るか」
「え?」
「部活始まったら放課後は練習だろ?」
「あぁ、まあそうだけど」
部活が本格的にスタートするのは来週からだ。
初めの一週間は体験入部期間とのこと。
だけどわたしは部活推薦で入ったから、もちろん体験入部期間から部活に出なければならない。強制ではないようだけれど。
「とりあえず昼食わねぇ?」
「あ、そうだね」
車に乗り込むと運転手の五十嵐さんがいた。
「こんにちわ」
「すみません、わたしまで送ってもらって」
五十嵐さんは悠馬が小さい頃から付き添っている人だ。
悠馬と会う時は大抵五十嵐さんがいる。こうやって直接話すことはあまりなかったけど。
「とりあえず家の方向かって」
そう悠馬が伝えると、車は静かに動き出した。

