だけど悠馬はわたしが泣いている理由を問い詰めることなく、そっと右手をわたしの背中に回して、優しく落ち着かせるかのように叩いてくれた。


わたしは悠馬にそんなもたれかけて、身を預けた。



**
どれくらい泣いただろう。

悠馬はずっとわたしの背中を優しく包んでくれていた。


わたしもずっと、そんな悠馬に身を預けていた。


涙が出なくなっても、ここから離れるのは、少し名残惜しい気がした。



「…大丈夫か?」

両肩を掴まれて、悠馬から引き離された。

悠馬の瞳には、さっきまであった冷たい光は消えていた。


わたしは鼻をすすりながら、コクンと頷いた。

「ごめんね…色々…」

「…なんで泣いてたんだよ?」

わたしの顔色を伺うようにして聞いてきた。

「……まぁ、別に無理に話さなくてもいいけど」


正直言うと、わたし自身もどうして泣いたのか、よくわからない。


気がついたら涙が溢れていた。