その背中をただ見つめているだけなのが、どうしても嫌で、わたしは走って悠馬の目の前に立った。


するとやっと悠馬と目があったが、悠馬の目にいつもある光が宿っていないように感じた。


やっと目があったのに、全然嬉しくない。


「…なに?」
静かにそう言う悠馬に、わたしは特に引き止めた理由がない事に気づいて黙り込んだ。


だけど悠馬はわたしを無視して車に戻ろうとすることはなく、わたしが話し出すのを待ってくれた。


「あ、あの…わたし…」

言葉を探しながらゆっくりと話し始めた。

これ以上、悠馬が傷ついている顔を見たくない。


「先輩と付き合う事になったの…黙っててごめん…」

ピクッと悠馬の眉が動いた。


「…別に誰と付き合おうが、お前の自由だろ」

「あ、そ、そうなんだけど…」


そうやって突き放されてしまうと、もう何も言えない。