そして体を家の方へと向けて歩き出そうとした瞬間ーーぐいっと腕を引っ張られた。
わたしはまだ全身に力が入りきっておらず、引っ張られた方に、ふらふらと倒れ込んだ。
だけど引っ張られたものの正体がわからず、慌ててその場を離れようとしたが、腕は強く掴まれたままで離れることができなかった。
「ーーおいっ!」
聞きなれた声にパッと顔を上げて、声の主を確認した。
「え、ゆ、悠馬?」
暗くて表情がしっかりと読み取れないが、雰囲気が悪いのは間違いない。
「ちょっとこっち来い」
険悪なムードで、有無を言わせないかのような威圧感がある。
「な、なに?」
悠馬は思いっきりわたしの腕を掴んでいる。
振り払おうと思ってもビクともしない。
なぜ悠馬がここにいるのか。そしてどこへ連れて行こうとしているのか、わたしには検討がつかない。
だけど悠馬が怒りを発しているのは分かった。
ーー2週間前のこと、まだ根に持っているんだろうか?
「ねえ、ちょっとどこ行くの?」
わたしがそう聞いてもなんの返答もなく歩くスピードも腕を掴む強さも全く緩まない。

