「あの…今日はありがとうございました。わざわざ送ってもらって…」
「いや、こちらこそ」
それから、お互い何も話さなくなった。
送ってもらっといて「じゃあ家に入りますね」とも言えない。
それに先輩は何やら言いたげな様子だったから、わたしは先輩が話し出すのを待った。
「…なんか名残惜しいな」
「…え!?」
わたしが驚いた顔をすると「冗談だよ」と笑った。
ーー先輩もそんな気持ちになるんだ。
放課後ずっと一緒にいたけど、先輩の考えていることまではわからない。
ちゃんと彼女として先輩の横に立てているのか、デートでの振る舞い方はこれでいいのか、とかそんな事を考えていた。
だけど先輩は、そんなわたしをずっと気遣ってくれていた。
今日、こうやって先輩と楽しいデートをすることができたのは、先輩のお陰だ。

