ゆっくりと近づけると、先輩の手の平に自分の手を乗せた。
ゴツゴツとした大きな手で、わたしの手を包み込むように優しく握った。
それだけで口から心臓が飛び出るんじゃと思うくらい、ドキドキと大きく鳴っていた。
先輩はわたしの駅まで送ってくれた。
初めは断ったが、「今日くらい受験の事を忘れさせて」と言われて、思わず頷いて送ってもらうことにした。
もちろん、それからずっと手は繋がれたままで。
駅まで、という約束だったのだが、結局家の前まで送ってもらった。
もう外はすっかり暗くなっていて、街灯の薄暗い明かりが道を照らしてくれていた。
正直ありがたい。
あれから、心臓の動きが緩まることはなく、ずっとドキドキしっぱなしだった。
きっと昼間だと、真っ赤な顔をしていることに、先輩だけじゃなく周りの通行人にも気づかれてしまっていた。
「ここがわたしの家です」
「あ、そっか」

