「実は…手を…繋ごうかな…と思いまして…」
先輩の様子を伺いながら、片言で伝えた。
先輩の顔を見ることができず、目が泳ぐ。
今更何言ってんだ、って思われただろうか。
この間がなんとも居心地が悪い。
耐えられなくなり、わたしから言葉を発した。
「えっと…」
しどろもどろに何ながらそう言うと、先輩が「はぁー」と深くため息をついた。
ドキッとなって顔を上げた。
やっぱり飽きられてしまったのだろうか。
そんな不安を抱えながら。
「…俺を殺す気?」
「へ?」
思ってもみない言葉に、間抜けな声が漏れた。
「まじで、心臓もたないから…」
そう照れながら話す先輩を見て、こっちまでその照れがうつってきた。
きっと今すごく顔が赤いだろう。
外はいい感じにオレンジ色に染まっていて、そのお陰できっと顔が赤いことは先輩にはバレていないと思う。
「はい」
そう言って、再び手を差し出された。

