わたしの手とは違って、ゴツゴツした男らしい手だ。
ーー繋いでみようかな。
そんなことを思い、ゆっくりと手を先輩の左手へと近づけた。
「なぁ、そういえば」
ぐるりと急に振り返った先輩を見て、ばっと手をあげて、何もやましいことはしていません、とでもいうように主張して見せた。
「……どうかした?」
だけどその様子でごまかせる訳もなく、気まずい空気が流れた。
「えっと……あ、先輩青になりましたよ」
話を逸らして道路を渡った。
先輩は納得のいかないような顔をしているも、再び信号が変わる前に歩き出した。
信号を渡って、静かな小道に入ると、今がチャンスだと、先輩が話し出した。
「…で、さっきのなんだったの?」
「えっと…」
ここまできたら、もう誤魔化せない。
わたしは正直に何をしようとしていたのか、話すことにした。

