「え、買ってくれたの?」
「はい、チケット代出してもらったんで、これくらいは…あ!先輩にはちゃんとコーラ買いましたよ」
「やべ…今日一番嬉しいかも」
「…え」
照れている先輩を見て、こっちまで顔が赤くなった。
そんなに喜んでくれるなんて思わなかった。
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「面白かったですね」
「そうだな」
駅に向かいながら、映画の感想を言い合った。
洋画のアクション映画が大好きで、ちょうどシリーズの続編が上演されていた。
先輩もそのシリーズは毎回見ている、ということだったため、帰りはその話で盛り上がった。
信号で立ち止まると、向こう側から走ってきた人がいて、わたしはそれを避けるように先輩の少し斜め後ろへ移動した。
すると、ゆらゆらと揺れる先輩の手が目に入って、映画に向かう前のやり取りを思い出した。

