「先輩が来てるよ」
放課後、今日は先輩と遊びに行く約束をしていた。
ーーつまりデートだ。
なんだかんだ言って、デートは今日が初めて。
今まで一緒に登下校はしていたものの、帰りに寄り道したり土日に会ったりする事はなかった。
先輩も勉強で大事な時期だし、わたしから誘う事はなかった。
しかし、ついこの前、放課後デートしようと先輩からお誘いの言葉をもらい、部活のない今日にデートをすることにした。
いつも同じ道を通って駅に向かっているのに、なぜか違う道のように感じる。
そしていつもよりも、先輩との距離が近い気がする。
ちらりと横目で先輩を見ると、目が合い思わず逸らしてしまった。
「目逸らされたら傷つくんだけど…」
「す、すみません」
少し寂しそうな先輩の声が聞こえ、すぐさま謝った。
「ん」
そう言って先輩が足を止め、わたしも振り返って足を止めた。

