…ちゃんと謝ったほうがいいのかな?
そう思っている矢先、先輩との待ち合わせ場所についた。
「おはようございます」
「…あれ?もしかしてちょっと元気ない?」
先輩はすぐにわたしの異変に気がつき、ドキッとした。
電車から降りるときに、先輩に気を遣わせたらいけない、と思って気を引き締めたところだったのに。
こんなにもすぐに見破られてしまうなんて。
「す、すみません」
せっかく待ち合わせしてもらっているのに、気を悪くさせてしまった。
そう思ってすぐに謝った。
「全然いいよ。…なんかあった?」
「いや…大したことじゃないので!」
そういって無理に笑顔を先輩に向けた。
しかし先輩は少し寂しそうに「そっか」と笑って、それ以上踏み込んでくることはなかった。
その先輩の表情に、間違った選択をしてしまったことに気づいた。

