「だれ？相手」
低く冷たく放たれた声に、体が硬直した。
そしてすぐに、悠馬が怒っているんだと理解できた。
なんでこんなに不機嫌なんだ、と原因を探ろうとするもパッとした答えが思い浮かばない。
「えっと弓道部の、元部長…」
聞かれたから答えたのに、わたしの答えに対する反応が何も返ってこない。
「…好きなの？そいつのこと？」
しばらく間を置いて再び質問された。
「え？えっと…」
好き。
そのワードを聞いて今はまだ即答できない。
それがわかっていたら、付き合うまでにこんなに時間をかけていない。
だけでこの数日先輩と一緒に過ごしてきて、好きになれそうな気はしていた。
「今は先輩に対して恋愛感情があるかどうかはわからないけど…好きになれると思う」
わたしは正直に自分の気持ちを伝えた。
