「今日はありがとうね」
「は?何が」
「この前わたしが高校選びに悩んでるって言ったから教えてくれたんでしょ?」
「いや、別に、それを聞いてなくても俺はお前を誘うつもりだったし」
「あ、そうなんだ?」
「花音が弓道強いことは知ってたしな」
「ていうか、悠馬のおじさん理事長なんだね」
「あぁ、言ってなかったっけ?」
「聞いてないよ。お爺さんも社長でしょ?すごいね悠馬の家庭」
「…そうでもねえよ」
「え、どういうこと?」
思ってもみない返信に戸惑いながら聞き返した。
だけど、悠馬が話し出す前にお迎えの車がきた。
「じゃあな」
「あ、うん。またね」
10秒も経たないうちに悠馬はさっさと車に乗り込んで行ってしまった。
結局わたしはさっき悠馬の答えを聞くことができなかった。

