「…一緒に来る?」
「え!?いや…!」
とっさに手の平で拒否をしてしまったが、「あ…」と気づき手を隠すように慌てて後ろで組んだ。
「冗談だよ。さすがに今日は俺も気まずい」
先輩は照れくさそうに笑ったが、わたしはその言葉に再びホッとした。
ーーただ思うのは、自分だけがこんなにも振り回されている、というか、あたふたしていてそれがすごく恥ずかしい。
こういう状況に慣れていないのが丸分かりだ。
「じゃあな」
そう言って先輩と別れた。
なんとなくその後の先輩の様子が気になったけど、振り返ることはできなかった。
電車の揺れが妙に集中させてくれて、今のわたしにはとても心地がいい。
しっかりと考えないとーー。
先輩がせっかくわたしを好いてくれているんだ。
わたしも真剣に考えて後悔しない答えを出したい。
電車の窓に映る自分を見つめて、そう決心した。

