すると、先輩は急に足を止めた。
「え、先輩?」
先輩の様子がいつもと違うことはすぐにわかった。
少し戸惑っている様子で何か言いたげな表情。
何か大きな悩みでも抱えているのか、と様子を伺いながら顔を覗き込んだ。
「ど、どうかしたんですか?」
恐る恐る尋ねた。
わたしが先輩の良き相談相手なんかになれるかは分からないけど。
さっきまで進路の話をしてたからそれで悩んでいることでもあるのかもしれない。
先輩もわたしと同じ奨学生で、もしかすると友達には相談できない悩みがあったのかも。
そうだ。
同じ弓道部員かつ奨学生として何か役に立てることがあるかもしれない。
先輩が口を開く前にわたしが先に話し始めた。
「もし何か相談したいこととかあるなら、わたし相談に乗りますよ?」

