「このまま奨学金もらえたらいいんだけど、まだもらえるとはっきり決まったわけじゃないし、特にこのままここの大学行くメリットはないかなって思ってさ」
「あぁー…そうなんですね」
そんな先輩の話を聞きながらわたし達は一緒に校門を出て駅へ向かった。
「でも、先輩いなくなったら寂しくなりますね」
「ははっ、またまたー」
先輩はわたしの言ったことを冗談ぽく受け止めて笑って流した。
「いやいや、ほんとですよ。わたし結構先輩の射る姿見るの好きだったんですから」
とは言っても、ここの大学に残っても、先輩が弓道をしなければ、その姿を見ることはないわけだけども…。
しかしわたしがそう言うと、急にシーンとして先輩が黙り込んだ。
ーーえ。何かまずい事言ったかな?
それとも、何か気に障るような事でも言った?
口を開かない先輩にわたしは焦りだした。

