何もいうことができず、ただただ目線を泳がせながら顔の火照りが冷めるのを待った。
もちろん部長を見ることもできず、静かな時間が2人の間に流れた。
「誰か待ってんの?」
「え?あ、はい。めぐを…」
その問いに、ようやく先輩を見ることができた。
「てかさ、俺もう部長じゃないんだけど」
なぜか少し嬉しそうに微笑んでいた。
「あ、そっか。今や部長は2人いるから区別つかなくなっちゃいますね」
わたしは部長の笑みをからかって言っているんだと取り、わたしもそのからかいを返すように答えた。
「はは、そうだな」
そう微笑んだ後、部長はなにやら言いたげな表情をしていたから、わたしは黙って部長を言葉を待った。
「じゃあさ…名前で呼んでくれる?」
「え?」

