「翔也がどんなところで働いているか知ってる?」

翔也ともほとんど連絡を取っていなかったから、どういう系の喫茶店で働いているのか全く知らない。

かなり高級な喫茶店で働いている可能性もある。

夏休みに入る前に、知り合いが経営している所でバイトをするかもしれないと言っていたから、恐らくそのお店だろうとは予想している。


翔也も成金とは言え、お金持ちだから、もしかするとかなりの高級店かもしれない。

…とは言っても喫茶店だから、大した金額はいかないだろうと思って、とりあえず5000円を財布に入れ込んで家を出てきた。


「ううん。わたしも知らないの」

「そっか。楽しみだね」


送ってもらった住所を確認しながら翔也の働いている喫茶店に向かった。

歩いて5分くらいしたところで、写真と同じ外観の建物が見えた。


「あ、ここじゃない?」

「そうみたいだね!」

少し重い扉を引くと、カランカランと趣のあるベルと共にコーヒーのいい香りが漂ってきた。