「人生とか、私には難しすぎてわからないんですけど、そんなに急いで今後のことを決めなくてもいいんじゃないですか?」
私も元の世界に帰るうんぬんで悩んでいたとき、エドガーから『納得がいくまで悩んで、答えが出るまでは、少しでも心動かされたことをすればいい』と言われ、今楽しいと思えることをしようと決めた。先のことなんて、未来に行けるわけじゃあるまいし、考えるだけ時間がもったいない。
「大の大人が無職というのも、格好がつかんだろう」
「そんなこと言ったら、私だって学校に行けてないし、職なしニートです。あ、そうだ! 私、これからお弁当屋を開くんです」
「弁当屋? 陛下から王都で開くよう提案されたとき、断っていただろう」
私は、お弁当に興味を持った国王に城へ呼ばれたときのことを思い出す。そういえば、国王の願いを突っぱねておいて、勝手にお弁当屋を開いてもいいのだろうか。
でも、さすがに無理強いはしてこないだろう。お弁当くらいで。
私は一瞬よぎった懸念を頭から追い出した。
「私がやりたいのは移動型販売です。ランチワゴンっていう乗り物で全国を回りながら、お弁当を売るんです。そこで用心棒兼、店員として働いてくれませんか!?」
旅の道中、なにがあるかわからない。エドガーは発明担当であって、戦力としてはちょっと……いや、かなり期待できない。なにかあったら十中八九、私の背に隠れる。頼みの綱は目の前のバルドさんだ。優秀な人材が絶賛職探し中。こんなおいしいチャンス、逃す手はない!
私はバンッとテーブルを叩いて立ち上がる。
「バルドさんなら大歓迎です!」
「俺が弁当屋を? 料理は得意ではないんだが……」
「大丈夫です! やってたらいつかは覚えます」
「やってたら、か。何事も鍛錬、剣術と同じだな」
剣術のほうが難しいと思うけど、本人が少しやる気になっているので、なにも言わないことにする。
「いろんな人に出会って、いろんな世界を見て、そこでおいしいものを食べて……。楽しそうじゃないですか? バルドさんも行きましょうよ!」
皆と旅をしながらお弁当屋を開くなんて、わくわくする。心を躍らせながら返答を待っていると、バルドさんは考えるように視線を宙に投げ、ふっと口元を緩める。
「旅、か……そういえば騎士団に勤めてから、ひさしく戦の遠征以外で遠出をしていなかったな。うむ、考えておく」
返事はもらえなかったが、前向きに検討してくれそうだ。手応えはあったので、あとは待つしかない。出発日までに、彼が来るのを――。
私も元の世界に帰るうんぬんで悩んでいたとき、エドガーから『納得がいくまで悩んで、答えが出るまでは、少しでも心動かされたことをすればいい』と言われ、今楽しいと思えることをしようと決めた。先のことなんて、未来に行けるわけじゃあるまいし、考えるだけ時間がもったいない。
「大の大人が無職というのも、格好がつかんだろう」
「そんなこと言ったら、私だって学校に行けてないし、職なしニートです。あ、そうだ! 私、これからお弁当屋を開くんです」
「弁当屋? 陛下から王都で開くよう提案されたとき、断っていただろう」
私は、お弁当に興味を持った国王に城へ呼ばれたときのことを思い出す。そういえば、国王の願いを突っぱねておいて、勝手にお弁当屋を開いてもいいのだろうか。
でも、さすがに無理強いはしてこないだろう。お弁当くらいで。
私は一瞬よぎった懸念を頭から追い出した。
「私がやりたいのは移動型販売です。ランチワゴンっていう乗り物で全国を回りながら、お弁当を売るんです。そこで用心棒兼、店員として働いてくれませんか!?」
旅の道中、なにがあるかわからない。エドガーは発明担当であって、戦力としてはちょっと……いや、かなり期待できない。なにかあったら十中八九、私の背に隠れる。頼みの綱は目の前のバルドさんだ。優秀な人材が絶賛職探し中。こんなおいしいチャンス、逃す手はない!
私はバンッとテーブルを叩いて立ち上がる。
「バルドさんなら大歓迎です!」
「俺が弁当屋を? 料理は得意ではないんだが……」
「大丈夫です! やってたらいつかは覚えます」
「やってたら、か。何事も鍛錬、剣術と同じだな」
剣術のほうが難しいと思うけど、本人が少しやる気になっているので、なにも言わないことにする。
「いろんな人に出会って、いろんな世界を見て、そこでおいしいものを食べて……。楽しそうじゃないですか? バルドさんも行きましょうよ!」
皆と旅をしながらお弁当屋を開くなんて、わくわくする。心を躍らせながら返答を待っていると、バルドさんは考えるように視線を宙に投げ、ふっと口元を緩める。
「旅、か……そういえば騎士団に勤めてから、ひさしく戦の遠征以外で遠出をしていなかったな。うむ、考えておく」
返事はもらえなかったが、前向きに検討してくれそうだ。手応えはあったので、あとは待つしかない。出発日までに、彼が来るのを――。


