"私なんかいなくても"
"私なんか死んだって"
自己の存在に対する葛藤はさて置き………
あの子はこの屋上から、
空に飛ぶ前に、
どんなことを考えたのだろう。
もし、私がこの屋上から
空に飛ぼうとするとき、
何を思うのだろう。
別に、死にたいわけじゃない。
ただ、周りの人と同じようにできない、
自分に嫌気が差しただけ。
この前は先輩と喧嘩して、
今度は友達と喧嘩した。
きっかけは、ほんの些細なこと。
あの時の自分の言動に、
自分自身で呆れる。
いっそのこと記憶を消したいくらい。
屋上に来たのに、大した理由はない。
青春ドラマでよくある、
屋上のシーンに憧れただけ。
一人青空を仰いで、物思いにふけったり、
好きな人を呼び出して、
ラブレターを渡したり。
本当に本当だ。
飛び降りようだなんて、
考えちゃいない。
時々考えちゃったりするけど、
今ここで死んでしまったら、
もう大人になれなくなる。