「私の考えは、こうです。
離れるという決断をしたご主人の気持ちを汲んでやるべきだと」
やっぱり、離れたほうがいいんだ。
肩を落とすと、先生は続けた。
「でも、神崎さんとご主人は、離れない方がいいんだと思います。
貴女は、仁さんの一1番の理解者になり、
支えていってあげてほしい。そう思うのです」
「そう、ですよね……」
「まだ、頑張れますか?」
にっこり笑う先生を見上げる。
離婚届を突きつけた時の仁を思い出した。
優しく、私の仕事にアドバイスをくれた。
私が眠っている間、私の企画書を見て、一生懸命考えてくれていた。
バツが悪そうに離婚届を出したのを思い出す。
仁は、本当に私のためを思って離れようとしてくれているんだと分かったら、
もう悲しくなった。
どうして、私たちはこうなってしまうの?
すれ違って、交われずにいる。
それは私の不倫のせいなのか。
私が真っ直ぐな恋をして仁と出会っていれば、
こうはならなかったのかしら。
ねぇ、神様。
私、もう絶対不倫のような最低なことはしませんから、
仁を元に戻してください。
私と仁を、そっとしておいてください。
先生をまっすぐ見つめて頷くと、先生は満足したように笑った。
診察室を出て、待合室でお会計を待つ。
携帯を覗くと、仁の写った写真が沢山あることに気が付く。
私、仁のこと好きなんだなぁとしみじみ思う。
1人で思い出に浸っていると、誰かに肩を叩かれた。


