「仁。どうしたの?」
「ここ。これじゃあ文章がおかしい。
あとはここ。ここはこうじゃなくてこっちが先だ。
後に難点をあげると印象が悪くなるだろ。
ここはこんな難点があるけど、
こういう利点もあるっていう言い方をした方が、
手に取る客は安心するんだ」
「えっ……あっ、そうかも」
「ターゲットは主に若い女性と子供だろ?
可愛いパッケージにするのもいいけど、飽きるんじゃダメだから、
何かマスコットキャラクターを作ってシリーズ化するのもいいな」
「そ、そうだね!仁すごい!それは思いつかなかった」
「こういうのは、慣れだから。
いかに周りを観察するかによってアイデアの生まれ方が違ってくるんだ。
俺は仕事柄人をよく見ているから、浮かぶだけで。
あんたも観方を変えると見えてくるものが……」
じっと、仁を見つめる。
どうしてこんなアドバイスをくれるんだろう。
本当に、こうして見ていると仁が愛しく思える。
優しさは消えることはない。
心の奥底に根付いている。
本来の仁が見え隠れするたびに、
ぎゅっと胸をしめつけられてしまう。
「なあ、聞いてんの?」
「えっ、あ、うん」
「悪い。喋り過ぎた」
口元を手で押さえた仁。
それから仁はポケットから折りたたまれた紙を取り出して、
私に差し出した。


