葛城さんがいなくなって、仁と2人きりになる。
しんと静まり返った空気が痛い。
何を言っても言い訳にしかならないような気がして、
必死に言葉を探していた。
仁は一度扉の方へ向かい、開けて廊下を見た。
そして戻ってくると扉を閉めて私のそばまで来る。
私はきゅっと強く目を閉じた。
「どうしたの?具合悪い?」
「い、いえ……大丈夫です」
「それ。今は二人きりだよ。敬語はよそう」
「う、うん……」
居た堪れなくて唇を噛みしめる。
どうしよう。
まだ弁解する言葉も思い浮かばない。
仕事をしてたって言ったけれど、
私一人で嘘をつき続けられるか不安だった。
「葛城と2人で仕事?」
「う、うん。葛城さんは、私の上司だから」
「そっか。彼氏としては面白くないなぁ。
他の男と二人きりだなんて」
気付かれたらどうしよう。そう思ってはっとする。
私はなんてことをしていたんだろう。
仁に言えないようなやましいことをして嘘を吐くなんて。
葛城さんの性格が移ったのか、
はたまた私のほうが性悪だったのか。
焦る私を見て、仁はふふっと笑った。
「あいつになんかされた?顔が赤いよ」
「べ、別に、何も……ないよ」
噛まれた耳がじんと疼く。
慌てて耳に手をあてて視線を逸らした。
どうか、バレませんように。
「そう?でも俺の気が済まないから、お仕置きだね」
「えっ?」


