耳を甘噛みされて、ふっと力が抜ける。
ゴツゴツした手は私の腰あたりを撫でている。
「ふっ、はっ……か、会社ですよ。
や……めて、ください」
「誰も見ていないさ。七海も
仕事押し付けられてヒイヒイしてたし」
「だ、だからってこんな……ダメです」
「それは“いい”ってことか?天邪鬼だなぁ。奏音は」
葛城さんの声が耳に直接響いて脳に衝撃が走る。
もう蕩けてしまいそうだった。
「最近綺麗になったなぁ。誰かいい男でもいるのか?
そんなわけないよな?お前は俺が好きだもんな。そうだろ?」
「あ、あなたには……七海がいるじゃないですかっ」
「あいつじゃ俺を癒すことは出来ない。
あいつはブランドみたいなものさ。
顔はいいし親は官僚だし。あいつほど最高の妻はいない。でも」
葛城さんはそこで言葉を区切ると、私の唇を塞いだ。
舌が唇を割って侵入してくる。
口内を侵すように暴れる舌が心地よくて、蕩けてしまう。
長いキスの後、大げさなリップ音を立てて唇を離すと、
葛城さんは大きく笑んだ。
「お前みたいな女が、本当は一番癒してくれる」
「は、離してください」
ふわふわした頭で考え、小さな抵抗を示すべく
葛城さんの胸を手で押しやる。
するとガチャリ、と音が鳴った。


